2007年10月16日火曜日

「大統領暗殺」を観る

新宿武蔵野館にて、「大統領暗殺」を観る。

まず、内容云々より、隣に座ったババァがウザかったことを言いたいです。
満席だったんですよ。お客さんが一杯入ってることは、まぁ、いいことなんでしょうけど。
隣に座ったババァが、とにかく落ち着きがなくって、ガムみたいのを何個も何個も咬んでティッシュに包んで、咬んで包んで・・・。で、いちいち、バッグかなんかのファスバーを開け閉めするんですよ。開けておけ、と。それから、なんか買い物をした後なんだろうけど、その紙袋をずっと手に持ってて、たまに落としたりするんですよ、床に。ビニール袋も。ガサガサうるさい! ババァめ。煮干に化粧した(結構濃かった)みたいな顔してましたよ。


さて、内容ですが、結構面白かったものの、“映画としてはイマイチ”という、微妙な感じでしたね。
この映画の“売り”は、まぁ、「フィクションなんだけど、色々な方法でホンモノのように作っている」という所で、そこはホントに凄い。上手だし、手が込んでるし。そういう意味での演出というのは、ホントにしっかりしていたので。
テレビのドキュメント番組っていうのは、一番分かり易い例だと思うんですが、ホントにその通りに作ってて。

ただ、シナリオというか、ストーリーだとか、サスペンスだとか、そういう部分は、イマイチ、という感じで。
一応、それっぽく作ってるんだけどね。
あと、「で、何が言いたいの?」みたいな部分が、ね。“アンチ・ブッシュ”がテーマだとしたら、なんていうか、“今さら”って気もするしね。イラクにおけるアメリカの政策も戦略も、全部ダメだったっていうのは、こっちにしてみたら、もはや前提でしかないワケで。
この作品は、そこまでは踏み込んではこないので、その辺は消化不良。

いや、しかし、いい作品だとは思います。アメリカ国内だと、それなりにセンセーショナルなトピックなんだと思うし、製作と公開の時期も、何年か前なハズだから。その頃と今では、もう状況は全然違うワケだからね。

面白いと思ったのは、“メタ映画”的な方法論で作られてるところですね。実際、作中のセリフでも「映画では○○だけど、本当は~」みたいなことを言わせてるしね。

それは、いわゆる“ドキュメンタリー”の手法と、“映画的”な手法を、上手に混合させて“ホントっぽさ”を作り出している(演出している)という部分に繋がるんですけど。

ドキュメンタリーは、まぁ、方法論上、例えば、綺麗に撮れてない映像も(グラグラ揺れてたり、画質がもの凄い荒かったり)、使うワケです。
逆に受け手は、そういう、綺麗に撮れてない映像を観ると、真実味、つまり“リアルっぽさ”を感じるワケですね。そう刷り込みがなされてるワケです。テレビとかを毎日観てるワケですから。
それを、利用してるんですね。上手に。
それから、例えばインタビューのショットも、そうですね。これも、いわゆる“劇映画”では絶対に存在しなくて、テレビのニュースとかドキュメンタリーでしか観ない映像なワケで。そういう映像を観ると、受け手は“リアルっぽさ”を、勝手に、その自分の観ている映像に付加情報として加えるワケです。


同時に、映画的な方法論での映像もあるんですね。デモと機動隊(アメリカでの呼び方は忘れましたが)の衝突現場とかは、まさにそうだし、暗殺のシーンもそうです。
そういう場面では、映画的な演出、カメラワーク、カット割りが使われていて。
これは、受け手に“臨場感”を与える為にやっていると思うんですけど。
臨場感とは、つまり、“追体験”なワケですけど。
この辺の映像は、いわゆる“見慣れた映像”なんだけど、それは、「映画で観た事がある」というショットなんですね。
テレビ(この場合、ドラマじゃなくって、ニュースやドキュメンタリー)の映像とは違う、キチンと作られている映像。

「映画で観た事がある映像」による“臨場感”と、「テレビで観た事のある映像」による“ホントっぽさ”。
この2つを、メタ的に使い分けて、“ホントっぽさ”、つまり“真実味”を出させることに成功している、と。


まぁ、いわゆる“ドキュメンタリスト”にとっては“禁断の技”を使ってるに等しいんでしょうね。ただ、これはフィクションなワケで、「ドキュメントである」という制約はそもそも存在しない以上、こういう手法(映画的な映像)を使っても全然構わないワケで。


しかし、やろうと思えば、嘘をここまで“ホントっぽく”やれますよ、というお手本になってますよねぇ。
製作者のホントの狙いっていうのは、そこなのかもしれないな、と、今気付きました。

というワケで、映画館で観るにはイマイチ。だけど、家でDVDでは観た方がいいんじゃないの、という一本でした。


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