新聞の夕刊に、ちょっとイイ話が載っていたので、記録がてら、ご紹介。
京都の、代々、220年つづいている鯖寿司のお店の、そこの七代目の佐々木さんという方なんですが。現在55歳。
五年前(佐々木さんが50歳の時ですね)、デパートの催事の仕事で北海道に行き、そこで、統廃合されることが決まっている小さな学校(小学校と中学校が一緒になっているんだそうです)の先生を紹介され、「子供たちに思い出を」ということで、佐々木さんがその学校へ実演に行ったんだそうです。
で、そこの生徒さんは、今まで誰も鯖寿司を食べたことがない、と。
ちなみに、鯖寿司というのは、しめた鯖を使った寿司(多分押し寿司の一種なんだと思います)なんですが、どうして〆た鯖を使ったかというと、京都が内陸だったからなんですね。200年以上昔には、当然冷蔵庫とか冷蔵車なんてありませんから、保存がきくように、揚げた鯖をしめてからでないと、京都に持ってくる間に腐っちゃうから、という理由から生まれた料理なんです。鯖寿司というのは。
逆に、北海道っていうのは、もちろん、なんつっても“新鮮な魚介類”ですから。基本、ピッチピチの魚ですから。毎日。
佐々木さんからしたら、「口に合うだろうか」と。喰ってくれるのか、と。
ところが、子供の反応が良かったんですね。笑顔で「おかわり」と口々に言ってくれたんだそうです。
その反応に、佐々木さんは、「老舗ののれんに守られた店の味でなく、自分の寿司が認められた」と思ったんだそうです。
佐々木さんは、45歳の時に、先代であるお父さんを亡くして主人になり(当然、それまでずっと修行してきてます)、味が落ちたと言われないようにと、必死だったんだそうです。
で、その、北海道の子供たちの反応で、自分の味に自信が持てたんだそうです。
その学校の最後の卒業式で、佐々木さんは、「仰げば尊し」を一緒に歌ったんだそうです。
というお話です。
どうでしょう?
なかなか素敵なストーリーじゃないっスか?
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