2008年4月6日日曜日

「裏切りの闇で眠れ」を観る

日曜日の夕方なのにガラガラだった、新宿武蔵野館にて、「裏切りの闇で眠れ」を観る。
フレンチ・ムーヴィーという事で、「モダン・フィルム・ノワール」と言いたいトコですが、まぁ、“セックス&バイオレンス”を目玉に作られたB級クライム・ムーヴィーという感じでしょうかね。おカネは結構かかってる感じでしたが。
日本でも、ヤクザ映画が(まぁ、Vシネとかですけど)脈々と作り続けられてるように、フランスでもこういう作品の需要があるんだろうな、と。


と、ここまでは若干貶める風に書いてきましたが、個人的には、かなりのツボではありました。
えぇ。良かったですよ。

シナリオと、というか、ストーリーがワリと手の込んだモノになってて、悪く言えば“ややこしい”んですが、段々“オチ”に向かって収束してくる構造は、嫌いじゃないっス。

内容は、ファミリーを仕切る男と、その男の“盟友格”の、インディペンデントで動いている“一匹狼”のヤクザの関係を中心に、まぁ、攻防というか、興亡というか。

やたらと女性の裸ばっかりを見せられるのは、マジで辟易しちゃいますけどね。
登場する女性は、ほとんどが全裸か半チチなんで。


主人公は、「ローマの皇帝」トッティ似の、なかなか雰囲気のある俳優さん。ちょっと胴回りが太過ぎる感じもありますが、まぁ、その辺は“貫禄”ってことで。


映像は、特別なことはしてないんですが、手振れとか、アップの画とか、カット割りとかで、上手に緊迫感を出してて、良かったです。特に、屋外の駐車場で取引をするシーンはグッド。その後の銃撃戦も、ベタっちゃベタなんですが、迫力あったし。


それから、車が沢山出てくるんですが、その車の使い方(撮り方)が、印象的でした。その辺がアメリカ映画とはちょっと違うところかなぁ。
ヨーロッパ車って、どれも、ホントにデザインがカッコいいからね。画になる感じで。
アメリカ映画の車の使い方の巧さとは、また違う感覚のカッコよさがありましたね。

刑務所から釈放されて出てきたら、真っ赤なフェラーリが待ってる、とか、超クール。
ハイウェイを走るベンツ(ヤクザたちがこれに乗ってる)を横から追い抜いて撮っていくショットとか。

このシークエンスではどんな車がカッコいいか、という基準が、ちょっと違うんでしょう。そういう個性はあるなぁ、と。

あとは、マシンガンで惜しげもなくボコボコにしちゃう、とか、ね。そんなんばっかりですけど。



シナリオで特に良かったポイントは、組織のリーダーと“一匹狼”の関係性ですよね。
リーダーは、主人公(一匹狼)を自分の組織に入れたいワケです。後継者として。腕も頭の切れも根性も認めてるからなんですが。「自分の組織には、そういう人間は居ないんだ」と。
後継者としてだと思うんですが、息子が欲しい、という理由でカミさんと喧嘩するシーンもあるし。
で、主人公は、自分の信条を貫く、と。組織になんか入ってられっか、みたいな。


あとは、まぁ、フランス特有の人種構成とか。イスラム教徒がモスクの中に逃げたりして。その辺は、ちょっと欲張り過ぎかも、という感じでしたが。
登場人物が多いのと、その人物たちにいちいちストーリーがあって、その中には、別にどうでもいいのとかもあったりして。まぁ、でも、そういうのも、雰囲気を作る為には必要だったのかもしれませんね。

唐突に「一年後」なんていうスーパーが入ったりするのも、やや苦笑い、でした。時間の経過なんて、もうちょっとオシャレに表現出来るのに、ね。完成してから、プロデューサーとかに「分かりにくい」とか言われて、しょうがねぇから後から付け足したのかもしれません。


ま、そういう感じで。
好みははっきりと分かれるでしょうが、好きな人にはお薦めの作品でした。
俺は、好き。


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