2008年8月4日月曜日

「コレクター」を観る

原題は「Kiss the Girl」という、モーガン・フリーマン主演の「コレクター」を観る。


「夜の大捜査線」と「セブン」と「羊たちの沈黙」を1つにミックスしたような、ま、よく出来たB級サスペンス、という感じでしょうか。

特に前半部分は、人種差別が“事件”の背景にあるかのようなことを、実は執拗に描写してるんです。ミリオン・マン・マーチのポスターが貼ってあったりして。
もちろん、それが、主人公自らが越境捜査や独断での踏み込み捜査を行なう動機になっていくワケですが、実は、“犯行”自体には、人種差別はあんまり関係なかったりして。
でも、“北部”から“南部”にやってきた捜査官が、地元の警察署で、最初はあんまり歓迎されない(待ちぼうけをくらう)なんていうネタは、完全に「夜の大捜査線」の引用ですからねぇ。

まぁ、パクリとは言いませんけど。

モーガン・フリーマンのキャラクター自体も、「セブン」の当たり役のアレですもんね。
で、「セブン」でも“七つの大罪”をズバッと言い当てたモーガン・フリーマンは、この作品でも、ズバズバと推理をして、言い当てます。コレクターであること、2人組であること、などなど。ラストでは、筆跡に“勘付く”という離れ業も見せますし。(ちなみに、このシーンは「ユージュアル・サスペクツ」のラストっぽい)


この辺の、シナリオの弱さみたいのが、結構目に付いたりして。
使った薬品からすぐ足がついたり、そもそもワリとあっさり監禁から脱出出来たり、実は身近な人間でした、というオチも、何となくベタだし。

ラストの、“真犯人”のシークエンスも、なんかイマイチ。「あとはFBIに任せておけば大丈夫」なんて、そんなオチで誰も安心しないでしょ。観てる方は。
ちなみに俺は、FBIの捜査官が犯人かと思ってました。どっちかっつったら、そっちの方が面白いんじゃないの?

まぁ、でも、原作があるってことだし、その辺はしょうがないっちゃしょうないのかもしれないけどね。


演出面では、なぜか、登場人物たちのフィジカル面を強調するショットが多いなぁ、なんてことが気になったりして。
冒頭のボクシング。キックボクシング、バスケット、水泳、という感じで。
クロスカントリーをしてた「羊たちの沈黙」のジョディ・フォスターの登場シーンに倣ってるんでしょうかねぇ。
その、スポーツをしている姿を映すことで、そのキャラクターを説明する、という手法なんでしょうが、ちょっとワンパターンな感じ。もちろん、ワザとそうやって、同じ方法で説明する、という演出なんでしょうけど。
冒頭の、モーガン・フリーマン登場のシークエンスで、ボクシングをやっていながら医学博士で刑事で、っていうのは、意外性があって面白かったけどね。


それから、タイトル。邦題の「コレクター」は、いかにも“猟奇殺人”な雰囲気は確かに出てるんですけど、逆にそれがB級感を出しちゃってる感じがあるなぁ、なんて。
でも「キス・ザ・ガール」もイマイチだして。だいたい、「女の子にキスをしたい」とか、そういう動機については、あんまり描写されてないですからねぇ。
そういう意味では、この邦題は正解なのかも。


う~ん。
そんなこんなで、ちょっと生意気な感想になっちゃう作品でした。


あ、でも、モーガン・フリーマンは、相変わらずイイです。怒って手を出しちゃったりするシーンもあるんですが、流石な演技で。
それから、アシュレイ・ジャッドは、なんていうか、もっと評価されていい女優さんだと思うんだけどなぁ。


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