2008年8月9日土曜日

「メメント」を観る

友だちのライター志望の人が絶賛していた、「メメント」を観る。


とにかくネタバレしちゃうのが一番マズイ作品なんですが、容赦なくいきますので。


その、時系列を遡っていく、という“トリック”は、ホントに面白かったですね。
で、この作品のポイントは、その“トリック”が1つだけじゃないところなんですね。

1つ目は、その、時系列を逆行していく、という構成。語り口の斬新さ、というか、語り方のトリック。
2つ目は、記憶が無くなってしまう、という設定。
3つ目が、その、記憶が無くなってしまうという状態で、復讐という目的を遂げようとしていること。つまり、動機。

で、この三つに加えて、“過去の記憶”という形で、ある老夫婦の話が語られる、と。
最後の“過去のエピソード”がミソで、主人公に気持ちや状況や苦悩を語らせるのに、上手にハマってるんです。

シナリオで賞を獲ったということですが、ホントにそれは納得。
ディテールも、着てる服と乗ってる車のアレとか、良く出来てるなぁ、なんて思ったし。



ただ。
なんていうか、その、シナリオ上のトリックの“謎解き”で終わってしまうんです。ラストも。「あ~、そうやって、そうなってこうなって、それでこうなるのね」で、終わる、というか。

時系列を遡るので、一番最初に“オチ”が掲示されるんですね。
で、俺としては、最後に、その最初に掲示された“オチ”を引っくり返して欲しかった、というか。
結局、ストーリーの“動機”が、「記憶がないからワケ分からなくなってる」ってだけになってるんですよ。

まぁ、ベタだけど、記憶がちょっとだけでも戻ったり、全く違う人間として(つまり、違う“記憶”を手に入れて)生きる、とか、そういう結末になっても良かったんじゃないか、と。

回収されてない伏線もあるような気もするし(あの女性のキャラクター)。


あと、ちょっとほじくり過ぎかもしれないんだけど、「困ったらポラロイド写真を見る」とか、なんか妙にしっかりしてるんです。
“過去の記憶”で、「老人は演技している」ということを延々語るので、逆に俺は主人公が演技なのか、とか、ヘンな勘ぐりをしてしまったり。さすがにそれは、演出的なミスリードではないと思うので。

ま、でも、もう一回ぐらい観たい作品ではあります。
うん。ホントに上手なシナリオ。

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