2008年9月8日月曜日

「ブロウ」を観る

ジョニー・デップ主演の「ブロウ」を観る。


この作品も、based on the true story ということで、実在のドラッグ密売組織を率いた男の半生を基に、ということで作られています。

ただ、その、あんまり“犯罪色”が強調されてないんですね。印象として。1人の男の、なんていうか、人生と、家族との愛憎劇を描く、みたいな雰囲気で。
いわゆる、クライム・ストーリーじゃありません。基本的に、斬った張ったもありませんし。(1人、名もないキャラクターが撃ち殺されるだけです)。

確か「こちとら自腹じゃ」で井筒監督が絶賛してた記憶があるんですが、個人的には、そんなに星は出ないっすね。★★ぐらいっス。

どうしても、全体的に既視感が強い気がして。焼き直し感というか。
それから、コカイン云々に関しても、ちょっと中途半端な気がしちゃったりして。

う~ん。



個人的に、ヒッピー・カルチャーに対しての憧憬みたいのが一切ない、というのも、この作品の評価に関係してるかもしれませんねぇ。冒頭の「美しい光景」「パラダイスみたいな西海岸」みたいな描写も、すんなり受け止められないので。


あと、母親と奥さんの描写の仕方。徹底的に、美人だけどワガママで、結局カネの話ばっかりで、という風に描かれているワケです。2人とも。
で、父親は誠実な人物で、主人公もそれに倣って、という設定なんですが、正直、その辺も、イマイチ。
要するに、主人公の動機が、自分の母親と、妻と、そして娘にある、という形で描かれるんですが、「いやー、そうじゃねーだろー」と。
ちょっと、主人公を美しく描き過ぎです。美化し過ぎ。
“被害者”みたいに扱われてますからねぇ。
特に父親からみたら、「ただのバカ」なのに。


そうなんですよね。なんか、“浅い”んですよ。いちいち。
コロンビアとかプエルトリコとか、中南米の描写も、浅い。密売組織の雰囲気も、なんかイマイチだし。


なんか、“イマイチ”ばっかりですけど。でも、ジョニー・デップは、メチャメチャいいです。モロにハマリ役。
最後の取引の後の、小さな部屋の中で「報酬をアップする」ところなんか、最高ですね。応戦用のナイフがなくって、気付くところ。

彼だけじゃなくって、キャラクターや演技に関しては、脇役陣もホントに素晴らしいです。ペネロペ・クルスはこっちが悶えるぐらいキレイだし、レイ・リオッタも、“若い父親”から“衰えた父親”まで、超好演だし、スパニッシュたちも、雰囲気最高だしねぇ。
演出面でいったら、そういう部分は最高でした。

あ、あと、J・デップは、声がいいんですよ。



シナリオの問題なんスかねぇ。

あ、あと、音楽について。選曲は、最高です。でも、尺と、映像に対するハマリ具合が、ダメ。
うん。そういう、カットごと、シークエンスごとの描写が、全部サラッと行き過ぎてる気がするんです。色んなところで。全部、サラサラッと語りすぎ、という感じ。
もっとしつこく、この曲でグイッと押して欲しいな、なんていうカットが、幾つかあったので。


ま、いまでもヒッピー・カルチャーに憧れる人っていうのは、たくさんいるワケで、そういう人にお薦めの作品なんでしょう。あと、ジョニー・デップが好きな人。
なんつーか、佳作のくせに意外と予算はつぎ込んでそうな、そういう作品でした。


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