2008年9月10日水曜日

「アウト・オブ・サイト」を観る

スティーヴン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニーとジェニファー・ロペス主演の「アウト・オブ・サイト」を観る。
ちなみに、午後のロードショーです。昼間っからスイマセン。ホントに。



で。内容ですが。
ま、ソダーバーグ監督らしい良作ですな、と。
というより、個人的に、特に最近改めて、ソダーバーグがツボに来てて、この作品も(未見だったんですけど)やっぱり「いいな」と。

この作品が1998年(10年前!)公開で、この2年後に名作「トラフィック」が公開されてるので、なんていうか、「セックスと嘘と」から始まって、ちょうどインディペンデント・ベースから「ハリウッド大作」への移行期、というか。
予算も、“人件費”にはかかってそうなんですが、そこそこっぽいし。というか、少ないお金で上手に撮ってる感じ。


ソダーバーグ監督の、特にこの作品を観て感じたのは、余計なことをやらない、ということですよね。
これは、予算の制約もあってのことなんでしょうが。
余計な説明をしない、と。カット割りでも、ストーリーの構成でも。もちろんそれが、説明不足になるワケでもなく。
これが、例えばデヴィッド・フィンチャーだったら、敢えて説明しなかったり、逆に情報過多にしてミス・リードする、みたいな方法論で観る側を引っ張るんですけど、この作品では、そういう演出法はしてなくって。


う~ん。
その“あんばいの良さ”が、テンポの良さを生んでるんですかねぇ。

ただただ、ストーリーを前にドライヴしていく、と。もちろん、それだけじゃなくって、過去の時制に戻ったりもするんですけど。
基本的には、一直線に進んでいくワケです。途中に派手なトリックを入れ込んだりもしないで、それでも、最後までしっかり離さない、という。



ま、キャストの存在感っていうのも、当然ありますよね。

キャラクターの演出で、この人らしいなぁと思うのは、キャラクターの輪郭をボヤかしたりしない、という所。○○そうに見えて、実は●●、みたいなことは、この人はあんまりしないですよね。
人物の裏表を描くことで、リアリティや人間味を強調して共感させる、みたいなことは、あんまりしない。
キャラクターは、最後までキャラクターのまま、という感じで。
そのキャラクターの操作方法に、ソダーバーグはもの凄い長けている、ということなんでしょうか。
くっきりと縁取りされたキャラクターを、俳優陣はそこにぴったりハマることで色づけしていくんでしょうけど、それが、あんまり“肉体化”してない感じ。
でも、生き生きしてないかというと、それも違って。

その“突き放し”感は、個人的には大好きです。


あと、乾いたユーモア感とか。
これも、その突き放し感と共通している素質だと思うんですけど。
ユーモアに関しては、監督の「やろうと思えばもっと出来るんだぜ」感も、オシャレで好きです。
いや、それはさておき。
乾いたユーモア。


要するに、余計な感情移入を拒んでるのだ、と、俺なんかは勝手にそう解釈してますけどね。

ラストの、J・Loのニヤッと笑う表情とかも、そんな感じで。
もっとフワッと終わらせることも出来るハズなんですが、ボトッと投げ出されるみたいな終わり方しますからねぇ。
でも、別に、全然“不完全燃焼”な感じはしないし。



うん。

ホントに、こういうシナリオが書きたいですな、なんて。

「セックスと嘘と~」が観たくなりました。レンタルしてこよっと。

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