2008年9月11日木曜日

「マイ・シネマトグラファー」を観る

アメリカン・ニュー・シネマ期を支えた1人である、有名な撮影監督についてのドキュメンタリー「マイ・シネマトグラファー」を観る。


これは、公開してた時に、タイミングを逃して観にいけず、DVD化されるのを待ってた作品でした。
正直、近くのレンタル屋さんに並んでるのを見たときには、まさかこの手の作品を置くとは思ってなかったので、意外でしたけど、嬉しかったので、さっそく借りてきた、と。



しかしまぁ、いくらニュー・シネマが好きっていったって、監督や製作者の名前は見知ってても、撮影監督の名前までは頭には入ってないもんで、この作品中にズラッと出てくる作品のタイトルの並びには、ビックリって感じですけどね。

その、当の撮影監督の名前は、ハスケル・ウェクスラー。(参考までに、こちらを)
で、このドキュメンタリーを撮っているのは、その息子さん。



さて。
タイトルと、まぁ、公開時の宣伝の内容(の、記憶)から勝手に、撮影監督としての数々の仕事を振り返る、という内容なのかと思ってたんです。
「へぇ。どんな風に撮ってたのか、勉強になるかも」みたいに思った人も沢山いたと思うんです。
が。
違います。
作中での、そう「告げる」父親の姿が映りますが、1人の映画人としての業績を追っていくような内容でなく、よりパーソナルな、「より内面的な」ドキュメンタリーになんです。
というより、撮られる本人が、撮る側である息子を、作品をそういう方向に持っていくように誘導(挑発)している、という感じ。

その、親子関係というのが、あんまりシックリきてなくって、もの凄い豪華メンバーが登場するんですが、彼らが、もの凄いフランクに、「父親との関係をアドバイスする」という感じになってて。

「父親との関係を受け止め直そうとしている息子」のドキュメンタリーになっている、と。

いや、それが、とても面白く仕上がってるんですね。
ちょっと期待していた内容とはズレるんですが。


その、父親というのが、結構強烈なパーソナリティの持ち主で、その父親の政治スタンスに巻き込まれないように苦心する息子の姿、とか、結構面白い。
息子本人も、それなりに成功している人物で、アメリカの過去三代の大統領についてのテレビ番組を作ってるような人なんですね。
で、近いうちに今の大統領のブッシュをインタビューする予定が入り、“左翼グループ”の集会に出席しようとしている父親を追いかけ切れない、というシークエンスがあったり。
この辺の苦悩は、とてもイイです。


自分の老いを受け止めようと苦悩する父親の姿。
その父親に奔放だった私生活についての告白を頼んだり、デモや超ビックな女優を取材する父親に同行したり、“同業者”としてその姿勢にダメ出しされたりしながら撮影を続ける息子の姿。
どちらも、とても面白いですね。



こういうドキュメンタリー作品って、自分で作ったりしてみたいんですけどねぇ。チャンスがあれば。
好きなんですよ。えぇ。



というワケで、期待していた内容とは裏腹ながら、とても良質なドキュメンタリー作品でした。
ホントにお薦めっス。

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