2008年11月7日金曜日

「マイ・ブルーベリー・ナイツ」を観る

ウォン・カーウァイ監督、ノラ・ジョーンズ主演の「マイ・ブルーベリー・ナイツ」を観る。


いやぁ、ウォン・カーウァイ・イズ・バック!!!という感じでしたねぇ。あの王家衛が帰ってきた! という感じ。

王家衛監督初の英語作品というで、まぁ、誤解を恐れずに言えば、「恋する惑星」のあの感触が戻ってきた、という感じ。個人的には。
かなり低予算で作られてるっぽいし。


しかし、いい映画だ。

話としては、なんてことのないストーリーなんだけどね。

こんなシナリオを書いてみたいよね。ホントに。


切れ味のいい短編小説を読んだ後、みたいな感じ。余韻をずっと楽しむ、みたいな。
ストーリー自体が、主人公のノラが2つのエピソードに巻き込まれ型で語られる、みたいな形になってて、ノラ自身のストーリーと併せて、全部で三つのパートに分かれてて。
まぁ、全部いいですよ。ストーリーは。


あとは、ショットがいちいち、クール。
一番好きだったのは、最初のシークエンスで、ノラが“遅刻”した夜の、ジュード・ロウがノラを待ってるトコ。あれは一応監視カメラの映像ってことになってるんだけど。カウンターの中に座って、そわそわしながら入り口を見てる、というヤツ。


まぁ、「恋する惑星」に戻った、ということで、ノラがフェイ・ウォンなワケだけど、警官のトニー・レオンとフェイ・ウォンが出会ったのも「お店」だったし。
それから、次のシークエンスでは、ノラと「警官」のエピソードが出てくるしね。

個人的には、ノラの唇ががっちりフィーチャーされてて、嬉しかったです。
王家衛っていうのは、かなりフェティッシュに女性を撮る人で、作品云々とは別に、その辺がツボだったりするので。今回のノラの唇のショットも、最高ですね。


しかし、ホントにスタイリッシュに撮る人だよなぁ。
ちょっと、呆れてしまう程、というぐらい。


ノラもいい。
ふんわりした存在感で。
繊細なんだけどエキセントリックじゃなくって、カワイイんだけど美しすぎるって感じじゃなくって、清楚って感じもなくって(鼻血も似合う)、地に足を付けた普通の女の子なんだけど、かといって普通過ぎる感じでもなくって。
自意識を上手く剥ぎ取った王家衛の演出もあるんでしょうけど。でも、ノラというミュージシャンが最初から持ってた資質なのかもしれないな。
自分をさらけ出すことに慣れているのかもしれないし、逆に、そうやってさらけ出すことの意味とか価値とか効果を知ってる、とか。
まぁ、装飾を削ぎ落としたスタイルのミュージシャンですからね。
いや、素晴らしいです。あと、普通に声が素敵なんですよねぇ。良かったです。



うん。ナレーションも、王家衛のスタイルですから。


う~ん。感想っていっても、こんなモンかなぁ。
あんまりグダグダ語らせない、というのも、王家衛の作品の性格の一つなのかもしれませんね。

ホントに、いい作品でした。


次作は、どんな方向になるんでしょうかね。


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