2008年11月17日月曜日

「アイランド」を観る

マイケル・ベイ監督、主演はユアン・マクレガーとスカーレット・ヨハンソンの「アイランド」を観る。


主人公が、クライアントのDNAを完コピしたクローンで、その為の「培養施設」から脱出して、というストーリー。
説明するとちょっとややこしいんですが、クローンには、架空の“歴史”と“記憶”が刷り込まれていて、そこに疑問を持ったことから始まる、と。

ストーリー上に、幾つかポイントがあって、ひとつめはその、記憶が捏造だった、という部分ですね。「マトリックス」や「トータルリコール」と同じ感じ。

2つめが、主人公が、クライアントに臓器を提供したり、代理で妊娠・出産したりするために作られた、オーダーメイドのクローンだった、という部分。で、その“コピー”に過ぎないクローンにも、DNAの提供者であるクライアントの記憶が宿ってしまっている、と。そこはあんまり強調されてないんですけど、結構ポイントだと思います。

3つめが、逃亡した主人公の2人を追跡する、黒人のエージェント。彼の登場シーンが超クールで、「うわぁ、カッケー」なんて思ってたら、最後に、彼のポジションが反転して、という。個人的には、この展開が一番良かったですねぇ。「焼き印」がキーになってて。

その、クローンの立場が、ナチスに迫害されたユダヤ人たちのメタファーにもなってたりするんですね。
強制収容所のガス室だとか、解放されたシーンなんかも、そうだし。

クローンの置かれた立場を、民族的に差別されてきた黒人やユダヤ人のメタファーとしても描いてる、と。

そういうポイントを押さえてる、ということで、実はそれなりに深みのある作品だったりして。




というより、この辺をもっと深く描けば、全然違う作品になり得る「テーマ」ですよね。
なんせマイケル・ベイですから、そういう、優れたテーマや設定なんかも丸っきり、惜しげもなく、カーアクションやら空中戦の為に消費しちゃうんですけど。(まぁ、それで全然いいんですけどね)


でも、「ハンバーガーになる前の牛を見たいか?」とか、クローンのクライアント(当然、ユアン・マクレガーが二役で演じる)が全然“善い人”じゃなくって、とか、その辺の細かいところも良かった。

S・ブシェミーが出てくるあたりは、結構、雑な流れだけど。



やっぱり、「クローンの記憶」って、面白いトピックだよな、と。
「記憶」については、それが捏造可能であり、外部から“インストール”することも可能だろう、ということになってきてるし、さらに、個人を取り巻く環境、つまり「世界全て」が丸ごとニセモノで(シミュレーテッドリアリティ)、という設定も、物語の素材としての有効性はますます強くなってるしね。



うん。
いや、実はこの作品で“消費”されてしまっているアイデアって、上手に使えば、もっと全然違う作品が作れるな、と。もちろん、もっとずっと低予算で。シリアスな感じで。
この「アイランド」自体が、そういう「既存のパーツ」で造られてるストーリーだし。
そういう意味でも、面白い作品でした。



あ、あと、やっぱりスカーレット・ヨハンソンは綺麗だね。
“ファーストキス”という設定は、彼女にピッタシですね。ホントに適役。




0 件のコメント:

コメントを投稿