2009年1月1日木曜日

「ミシェル・ヴァイヨン」を観る

フランス製の、実はリュック・ベッソンが脚本に参加している、「ミシェル・ヴァイヨン」を観る。
フランスのコミック(「バンド・デシネ」って言います)が原作、ということで、日本で言ったら「サーキットの狼」とか「頭文字D」とか、そんなイメージでしょうかね。

“荒唐無稽”とか言ってしまえばそうなんでしょうけど、個人的には、面白いな、と。いい映画でした。
ま、“男の子”のハートをがっちり掴む、的な。


とりあえず、映像はキレイですね。陰影を強調した、という、ま、「銀残し」に近い感じの。
特に、車の物語ですから、アスファルトの黒と、ヨーロッパの平べったい森の緑と、空の青と、という感じの色の対比が映える感じで。

単純に、舞台となる「ルマン24時間レース」の、あの観客席の映像だけでも、テンション上がるし。

レース中の映像も、なかなかいいです。クラッシュしてひっくり返る瞬間、ドライバーが頭抱えてたりして。
あと、そのレース中の音の使い方も上手。実はその辺は、セオリー通りっちゃそうなんですけど、逆にそこをちゃんと抑えてる、という意味でも。なかなか上手な演出だと思いました。
音楽も。モダンな映像にフィットした、モダンなサウンド。かといって、何年か後に観たら(聴いたら)もう陳腐化してる、みたいな音でもなくって。(「ルネサンス」というフランス製のアニメが、そうでした)

そういう、快楽原則みたいなのをちゃんと抑えている、と。そういう作品ですね。
敵役の、「あしたのジョーの」白木葉子的なキャラクターも、いかにもという感じで、美しくて狡猾で、という。
その辺も、味方の“爽やか美人”と存在と併せて、「007」の踏襲なんですけどね。

それから、モータースポーツっていうのは、これは万国共通だと思うんですけど、基本的には金持ちの道楽なワケで。
この作品も、そこはそのまま。主人公は、富豪の三代目かなんかで、しかも次男。
敵は、主人公の親父の元ライバルで、性格の悪い娘。
変に成り上がりストーリーを入れ込んでこないトコも、結構好感持てます。余計なトピックで“社会派”ぶらない、という部分で。モータースポーツなんて、そんなモンですからね。基本的に。


で、レースの外側で、誘拐だったり破壊工作(サボタージュって言ってますね)だったり、それを知恵と勇気と信頼と、あとは腕前で乗り越えていく、と。
そういうサスペンスの部分も、まぁ、楽しいですよ。テンポもいいし。変なポイントで裏切ったりしませんから。
主人公はどこまでも爽やかで、みたいな。
最後に勝つしね。必ず。ヒーローは勝つ、と。
そういうのもいいですよ。完全に振り切ってますから。こういう風に、真正面から語られると。
そういう意味では、同じくコミックが原作の「ダークナイト」とは、まったく正反対の方向に振っているワケなんだけど。でも、こちらはこちらで、いい作品だと思います。


「TOTAL」「ELF」のスポンサーに対するアレもばっちり。「マクドナルド」も、多分そうなんだけど、そこはフランス製なので、ちょっと捻ってますけどね。
それから、登場してくる車も、どれもクールなフォルムで、超クール。



あとは何だろうな・・・。

敵役が香港系(多分)、レースの途中クラッシュしてリタイアする車が日本車、アメリカ人の同僚レーサーは色仕掛けにすぐ落ちる、最後にフランス人の主人公たちの“家族的な絆”が強調される、などなどの、まぁ、フランス人の若い観客に媚びを売りまくる、という、政治性っつーか、その辺も結構ツボかな。分かりやすいし。

やるならこのくらいやりましょう、と。
そういう作品でした。

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