2009年4月28日火曜日
「秘密のかけら」を観る
月曜映画の後番組な映画天国(ヒドいネーミングだけどね)で、アトム・エゴヤン監督の「秘密のかけら」を観る。
お色気シーンが結構盛り込まれてて、R指定なのは間違いないんですが、ま、いい作品でした。
ケビン・ベーコンともう一人の役者(上手い人でした)が、コンビを組んでいた往年のスターたちを演じていて、彼らの“過去”を、野心を抱いた若い(そして、すげー美人な)女性ジャーナリストが追いかけていく、というミステリー。
舞台は70年代で、そこからさらに15年前に遡る、という語り口になってて、まずその辺を違和感なく見せるのが上手だな、と。
そこがグラついちゃうと、もうグダグダになっちゃうワケで。
ただ、いかにも“現代美人”な顔つきのヒロインを、あまり昔っぽくしないで映してて。
加減なのかな、とも思ったんだけど、まぁ、ヒロインはカワイかったですね。そんなに濃いキャラクターではないんだけどね。
でも、“過去の事件”を、ジャーナリストを狂言回しにして語っていく、というのは、ある意味では常套手段なワケで、その役目を果たさせる為には、いいキャスティングだな、と。
で。
面白かったのは、掘り起こしていく“過去”について、語り手が2人いる、というトコ。ヒロインと、ケビン・ベーコンが、それぞれ語っていく、という。
「回線」が2つある、ということで、これは面白かったです。
で、2つの回線でストーリーが進んでいきながら、ラス前で、なんと映画のセットの書き割りの前で(!)真相が語られる、という。
これは、はっきり言って「火曜サスペンス」みたいなベタベタなメタファーでもあるんですが、70年代です、という空気感がそうさせているのか、あまり違和感がなかったりして。
それから、そのラス前だけじゃなくって、全編に渡って、映像にちゃんとヒントがある、という点。
最近のサスペンスは、要するに全部隠しちゃって、「実は影で~」という謎解きが多いと思うんだけど、この作品では、ワリと丁寧に、ひとつひとつちゃんと映像にしていきながら話が進んでいくんですね。
話の運びでも、妙に偶然が多かったりするんだけど、それも同じで、敢えて違和感を感じさせている、というか。
そういう違和感を、ひとつひとつ丁寧に回収しながら、過去を掘り起こしていく、と。
そういう“話法”なためか、なんか最後のところの「すげービックリ!」という感じのカタルシスはないんですが、ま、腑に落ちるというか、妙にスッキリしたエンディングで、これも好感。
特に「真実は伏せておきたい」という部分ですね。娘さんのことで、これ以上傷つけたくない、と。
このラストの爽やかさは、素敵です。
あ、でも、振り返ると、オープニングの緊張感が満ちたショットの、その緊張感の理由が明かされた時は、ちょっと「お!」と思ったかも。
だいたい、こういうキャスティングの時のケビン・ベーコンは必ず犯人って決まってるので、そこはちょっとズルいかもねぇ。
ま、でも、丁寧な造りの、良作ですな。
ヒロインのノーブラな存在感も、凄い良いし。
子供にはダメですけどね。
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