2009年11月23日月曜日

「ラッキー・ユー」を観る

シネマ・エキスプレスで、「ラッキー・ユー」を観る。


この作品、知らなかったんですが、結構ゴージャスなメンツでの製作なんですね。低予算だけど。
監督は「LAコンフィデンシャル」のカーティス・ハンソン。
「LA~」とは全然テイストが違いますが、同じく監督作品の「8マイル」にはちょっと雰囲気が似てるかも。
年齢的にはすっかり大人になっている主人公の、うだつの上がらない日々からの脱却を目指してもがく姿、ということで言うと、ね。

で、助演がドリュー・バリモア。
バリモア、なんかマブいよねぇ。(なんつーか、彼女は“胸”の形が好きです。あと唇も)

主人公の親父役にロバート・デュバル。とりあえず、この親父の存在感がかなりポイント高い。



が。
結論から言うと面白い作品だったんですが、ちょいちょい「あれ?」みたいなのがあって、それは、主人公のキャラクターの感じに因る所が多くて。
主人公の輪郭がイマイチ掴めん…。


この作品はポーカーの世界選手権、というクライマックスに向かっていくんですが、その、ポーカーのプレイヤーたち、つまりプロのギャンブラーたちなワケですね。登場人物は。
ちなみに、主人公の親父は、世界選手権に2度優勝している、という設定で、なおかつポーカーに入れ込み過ぎて家庭を失っている、という。
で、主人公もプロのギャンブラーなワケですが、こいつがなんだかよく分かんない。

強いんだか弱いんだか。


なんだか強いってことになってて、本人もそう振る舞ってるんだけど、とにかく金欠で、あっちこっち金策に駆けずり回ってるんだけど、ことごとく失敗して、しかもただの失敗じゃなくって、普通にカモられたりしてる。
自意識過剰で自信過剰でいけ好かない感じだし。
ちょいちょ負けるクセに。


女好き、というのは、親父との関係とか、親父と母親の崩壊した関係を見て育ったから、という理屈があると思うんだけど、なんか微妙に“美化”されちゃってるんだよねぇ。
“ボンクラ感”がいまいち描写しきれてない。

だいたい、主人公を演じる役者(エリック・バナという人)が、この役にあんまりハマってない。
カッコよ過ぎるっつーか、スマート過ぎるんだよねぇ。

例えば、ニコラス・ケイジとかティム・ロスみたいな人が演じれば(年齢が設定と全然違うんだけど…)、なんかダメっぷりというか、自分のダメっぷりに苦悩する姿、みたいなのに共感できたりするんだろうけど、あんまりそんな感じにならない、という。
「こいつの人生、全然問題なくないか?」みたいな。

さっそうとバイク乗ってるし。


個人的には、そういう部分が致命的にアウトで。



ただし、良いポイントもたくさんある。



まず、セリフがいい。
冒頭、質屋で、主人公が(友達のを無断で拝借してきた)ビデオカメラを換金しようするんだけど、とりあえずこのやり取りで交わされる言葉がかなりクール。
ポーカーのゲームの最中にも、特に親父が、会話でブラフを仕掛けてくる、というスタイルで、この時のセリフの感じも好きです。


それから、小道具の使い方が巧いですね。これはホントに演出の巧さだと思うんだけど。
母親の形見の指輪や、とにかくポーカー自体がコインとカードという“小道具”を使うゲームだからっていうのもあるんだろうけど、コインを弄る手の動きとか。
あとは、決勝ラウンドのライバルたちの、サングラス、とかね。

細かいところの演出もピリッと効いてて、朝のダイナーで、親父と息子(主人公)が2人でカードゲームを(当然、高額のカネを賭けて)始めてしまうシークエンスは、凄い良かった。
カードでしか会話できない、というか。
最初は2人で話してるんだけど全然噛み合わなくって、だけどカードゲームが始まると、という。
結局息子の方は負けちゃうんだけど。

で、この2人の関係の間には、母親というのがいて。主人公の母親。親父の(別れた)妻。
母親は、存在は出てこないんだけど、形見の指輪、というのが出てくるんですね。これが、冒頭の質屋のシークエンスから、ずっと2人の間を行ったりきたりするんです。
これが巧い。
というか、ニクいな。指輪の扱い方が。


あと、演出の面では、決勝ラウンドの直前、ゲームが一旦終わった時に、メンバーが全員恋人や家族の元に近寄るんだけど、主人公だけ抱き合う相手がいない、というシーンがあるんです。
これはいいですね。
すげー意味の分かりやすいショットなんだけど、ポーカーのテーブルとそれを囲む観衆、という場の空間を上手に使った演出で、これは実はなかなか出来ない演出だと思う。
で、主人公を待っているのは、借金取りだけだ、という。
これは、効果的だし、イイですよね。


ポーカーの出場者はみんな上手に個性が描き分けられてて、細かい演出も人物描写も良いのに、なぜか主人公だけが分からない、という、最後までそこが謎です。マジで。

大会の結末も爽やかで良いです。

この辺は、シナリオの勝利って感じなんでしょうか。



とにかく主人公のキャスティングがなぁ…。



まぁ、なにげにもう一回観たい作品ではあります。




あ、補足しておくと、舞台はラスベガス。
「CSI」と同じ、ですね。

でも、全然違うベガスの風景ですね。“ローカル”なポーカーラウンジが主な舞台なので。


というワケで、なんとも歯がゆい作品でした。


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