ミッドナイトアートシアターで、「戦火の勇気」を観る。
デンゼル・ワシントンとメグ・ライアンの共演、ということで、確か結構話題になってた記憶がある作品ですが、実は未見でした。
というワケで、湾岸戦争を題材にした、この作品。
というか、オールスターキャストですよねぇ。
とかいいつつ、実は、D・ワシントンとメグ・ライアンが同じ画の中に収まることがないので、"共演”ということではちょっと物足りない、というか、メグ・ライアンはあんま出てこないので、そこはやや不満。
基本的には、D・ワシントンの話。
で。
作品として、なんていうか、かなり引っかかったポイントが、ひとつありまして。
それは、常に回想で語られる、戦場となったイラクの岩山(そこに、メグ・ライアンたちが乗ったヘリが墜落する)が、さっぱりイラクに見えない、という点。
これは、実は奇妙な〝齟齬”で、つまり、俺自身も直接イラクの〝砂漠”だとか〝岩山“だとかを見知ってない癖に、つまり、俺自身もニュースの映像とかテレビとか映画で得た知識しかないんだけど、どうも、そういう"印象”と一致してない、という。
そこが、ね。
アメリカのどこかで撮ってる、という感じが見えちゃってるんですよねぇ。
これは、実は演出的に筋が通ってたりして、それは、つねに「回想シーン」なんだ、ということなんですね。
特に一番最初の回想では、メグ・ライアンの振る舞いにものすごい違和感がある。
この、俺自身が感じてしまった違和感というのは、作品を鑑賞している側が、その演技と演出に感じている、ということなんだけど、これはのちのち、「実はこの回想が虚構だった」というところに繋がっている、という。
…ということなんだけど、なんていうか、「別に繋がってないかも…」みたいに悩んじゃう感じもあったりして。
そこら辺の、意図的なのかそうでない(つまり、リアリズムの獲得という作業に失敗している)のかは、ちょっとはっきりとは分かりません。
なんか、全体的に、ちょっとわざとらしいんですよねー。
タッチが。
デンゼル・ワシントンの髪型とか。
理由ははっきりとは分からないんだけど、その、「作り物」としてちゃんと成立してない、というか。
なんかねー。
映像が安っぽい、というか。
テレビっぽいのかもしれないな。
あくまで個人的な印象なんで、はっきりとは言えない"感触”なんですが。
で。
映像のタッチは、そんな感じ。
良かったのは、ストーリーの作り、ですね。
それぞれの回想が食い違う、という〝売り”の部分には、個人的にはあんまりグッとはこなかったんですが、デンゼル・ワシントンが演じる主人公の"構造”は、なかなか面白かった。
軍人としての自分と、個人としての自分。家庭人としての自分。
そこら辺のコンクリフトが、「真実か否か」という、ストーリーを駆動する〝真相の究明”と上手に絡み合ってて、それは良かったです。
本人が抱える事件(これが、作品のオープニングに掲示される)と、客観的に関与する(真相究明を担う)事件が、なんていうか、ちょっとお互いに近すぎる、というのは、イマイチかも。
例えば、ベトナム戦争(作中でもたびたびセリフとしてこの言葉が発せられます)と現在進行形の"武力行使”とをリンクさせたのが、(確か)トミー・リー・ジョーンズの「英雄の条件」なワケですけど、そういう、シナリオの構造上の巧さ、というか、ね。
そういうのがあってもいい気がしましたが。
まぁ、これはズバリ「湾岸戦争」がテーマなワケで、これはこれでいいのかもしれません。
それから、共演陣はホントに素晴らしい。
メグ・ライアンは全然活躍しませんが、マット・デイモンはやっぱり良いです。激ヤセっぷりもすごいんですが、存在感が素晴らしい。
それから、個人的に大好きな、ルー・ダイアモンド・フィリップス。
筋肉ムキムキのボディもすごかったですが、彼と主人公の、ロッカールームで火花を散らすシーンは、最高ですね。
2人とも、グッと感情を抑えて堪えながらググッと相手に対して前に出て行く、という、まぁ、そういう演技が巧いんですよ。
その2人の激突、という。
良いです。
まぁ、この2人のシークエンスに一番価値があるかもな。実は。この作品は。
うん。
そんな感じっすかねー。
D・ワシントンはねー。
やっぱ、もうちょっと違うキャラクターなんだよねー。ハマるのは。
この役柄は、それこそシドニー・ポワチエのライン。
デンゼル・ワシントンは、ちょっと違うんだよね、と。
まぁ、そんな感想もありますけどね。
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