2010年6月8日火曜日

「ワンダーボーイズ」を観る

月曜日の映画天国で、意外にオールスターキャストだった、「ワンダーボーイズ」を観る。

監督はカーティス・ハンソンってことで、これも意外ですが、面白かったです。


とりあえずメインキャストをザッと並べてみると、マイケル・ダグラス、トビー・マグワイア、フランシス・マクドーマンド、ロバート・ダウニー・Jr、ケイティ・ホームズ、と。

マイケル・ダグラスといえば、名作「トラフィック」での共演で、“絶世の美女”を実際に娶った、という“豪傑”なワケですが、この作品では、スランプに陥っている作家を、いい感じのくたびれ具合で好演。
ダウニーJrは、ゲイの編集者で、トビーに惚れちゃう、という。
「ファーゴ」の署長さんだった彼女は、今回は大学の学長さん。というより、マイケル・ダグラスの不倫相手で、しかも、相手を振り回す役どころ。
ケイティ・ホームズは、まぁ、超キュートなんですが、主人公のマイケル・ダグラスを、これまた誘惑しようしたり、振り回したり、という。


というか、こう書いただけで、なんだか楽しそうな雰囲気かもしれません。
タイトルの“ボーイズ”は、主人公以下の「アホな、子供みたいな男たち」ぐらいの意味ですかねぇ。


アメリカの映画の、こういう、いわゆる文芸作品みたいなジャンルの作品で、実は、けっこうこの「作家」という職業が登場するんですよねぇ。
たいていの場合、なんかの事情があって、書けない(スランプ)。
で、“相棒”として、編集者が出てくる。
あと、「作家」は、やたらモテる、という。


この作品も、そういう“定形”みたいなのは、しっかり踏襲してます。


う~ん。


面白さをどういう風に書いたらいいんですかね~。
ちょっと悩みますが。。。


まず、シナリオの、プロットがちゃんと練られてあって、文芸系にありがちな「ボーッとした感じ」じゃないんですね。結構、動く。
構造とか要素だけ抜き出したら、いわゆる普通のコメディみたいな感じなのかもしれません。

ただ、そういう空間に、「文学の世界に生きるキャラクター」たちが入れ込まれていることで、ちょっと違う雰囲気が薫ってくる、という。

舞台が、大学のキャンパスとその周辺の街、ということになっていて、これもいい感じに機能しているのかもしれませんね。
東部(ピッツバーグ)で、雪が積もっている季節。


あと、やっぱり、俳優陣の演技が良い。
演技っていうか、雰囲気ですかね。
ちゃんとみんな、キャラクターになってる。生きている、というか。
これはホントに、演出サイドの腕なんだと思います。


う~ん。


とにかく“雰囲気”がいいんだよな~。
それに尽きるのかもしれないなぁ。

よく練られたシナリオ。キャラクターを生きている俳優陣。
スクリーンに雰囲気を作ることに成功している演出。

そういうことなのかなぁ。。。


他に巧い言葉が見つからないんだけど。。。


まぁ。。。
結末としては、作家は書けるようになり、作家志望のトビーは夢を掴みかけ、ゲイの編集者は仕事の行き詰まりが解消され、愛情は回復し、ケイティは超キュートのまま…。

これも、定形っちゃ定形なワケです。大円団。


そして、これがニクいんですが、最後の最後に、PCが出てくるんですね。そこで「save」と。データのセーブ。
そこまでは、ずっと、タイプライターなんですよ。

ラストで、「新しい生活」が、愛情とともに始まっていて、それを「save」する、という。
これ、捉えようによってはかなりダサいんですけど、でも、いいワケです。
最後の最後に、グッとくる。

映画全編を通して浸っていた「いい雰囲気の空気感」が、ラストに、「いい感じ」で締められる、という。
これはこれで、かなり幸福な映画体験だと思うワケです。
何も、カタルシスだけが映画じゃないハズですから。



うん。



こういう作品を、こういうオールスター級のキャストで撮れる、というのが、まぁ、映画産業の懐の深さ、というんでしょうかね。
豊穣さ。
素晴らしいと思います。ホントに。



0 件のコメント:

コメントを投稿